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中古スタインウェイピアノを選ぶ注意点 その3

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

Piano Carpe diemです。


前回は、ピアノ技術者の視点から、中古スタインウェイを選ぶ際の注意点についてお伝えしました。

今回は「ピアノの履歴」という視点から、中古スタインウェイを選ぶ際の注意点についてお話しいたします。


これはスタインウェイに限らず、中古ピアノ全般に共通する内容でもありますので、ピアノをご検討中の方はぜひ参考になさってください。


今回、「履歴」に着目した一番の理由は、中古ピアノの場合、過去の履歴を追うことが非常に難しいためです。

新品のピアノは、工場出荷時にどこへ納品されたのかが記録されており、その履歴をさかのぼることができます。

さらに、正規販売店から納品されたピアノであれば、販売記録や調律履歴などから、設置環境や使用状況を把握できる場合もあります。


しかし、ピアノも長年使用されるなかで、売却や譲渡を繰り返すことがあります。

そうなると過去の履歴を追うことが難しくなり、その楽器を客観的に判断することも容易ではなくなります。

特によく見られるのが、欧米で買い付けられた中古スタインウェイです。

そうしたピアノには、戦前製造のものや世紀をまたいで受け継がれてきた古い楽器も数多く存在します。

また、海外では修復技術も比較的高いため、近年では欧米から買い付けたピアノを日本国内で販売する楽器店やピアノ技術者も増えてきました。


一方で、古いピアノには、現代にはない外装デザインや熟成された音色といった大きな魅力がありますが、その反面、使用履歴を追うことが難しいという側面もあります。

これは一見すると大きな問題ではないように思われるかもしれません。しかし実際には、とても重要なポイントです。


なぜなら、ピアノは多くの部分が木材で構成されており、温度や湿度の影響を大きく受ける楽器だからです。

特にアメリカのように広大な国土を持つ国では、北と南、東と西で気候が大きく異なります。

そのため、どのような環境で使用されてきたのかを把握することは非常に重要です。


以前、個人所有されていたスタインウェイの検品に立ち会ったことがありました。

このピアノは、ニューヨーク工場から出荷された後、ボストンの正規代理店で新品購入され、その後、仕事の都合によりマイアミ、さらにシアトルへ移動し、最終的に日本へ持ち帰られたという経緯がありました。

マイアミはアメリカ東海岸南部の亜熱帯地域であり、一方のシアトルは西海岸最北部、カナダに隣接する冷涼な地域です。

つまり、このスタインウェイは、まったく異なる環境下で長年使用されてきたことになります。


このケースでは、新品購入からのワンオーナーであったため、詳細な履歴を追うことができました。

しかし実際には、このように履歴を明確に把握できるケースは決して多くありません。

国内で流通している中古ピアノの多くは、過去の使用環境や履歴を詳しく追うことが難しく、そのため、現在どの程度の耐久性を有しているのか判断が難しい場合もあります。


そのため、「スタインウェイだから安心」という理由だけで購入を決めてしまうと、後々後悔につながる可能性もあります。

中古ピアノを選ぶ際には、製造年や修理履歴だけではなく、「どのような場所で、どのように使用されてきたのか」という視点も大切です。


今回は、ピアノの履歴と、その重要性についてお話しいたしました。

皆さまのピアノ選びの一助となれば幸いです。


本日もご一読いただき、ありがとうございました。



戦前のスタインウェイ鍵盤ロゴ

 
 
 

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